ハーネス(配線)の処理(2)

その1でも書きましたが、ハーネスの記事についてはスワップするハチロクの年式、5バルブエンジンの年式によって、使用する配線図や修理書が異なります。ブログ主はハチロク前期型(トレノ2ドアGT-APEX)にAE111後期6MT用4A-Gを搭載しています。この記事を参考にされる際は、お手持ちの配線図のカプラー記号に合わせて読み替える等して頂く必要があります。


ここからは2つのハーネスと2つの配線図との闘いでした。きっと、電気系に強い方ならそんなに難しい作業ではないと思うんですが、何しろエンジン廻りの電気的な制御についてのノウハウが自分の中には殆どありません。配線図を見る⇒なんじゃこりゃ?⇒ググる⇒わからん⇒もっとググる・・・・とまぁ、こんな事を繰り返した結果、ECUの中身以外の仕組みについては大雑把に把握できるようになりました。

ちなみに、昭和58年5月版のハチロク前期型の配線図集のうち、109ページの真ん中の少し上にある「吸気温センサ」は「排気温センサ」の間違いだと思います。巻末の総配線図には正しく表記されています。また、108ページの真ん中少し右上にある車速センサ(アナログ)の右側の端子番号は、3ではなく8が正しい番号です。

ハチロクとAE111の配線図を比較してみると、ECU周りやスターター周りにはそんなに大きく違わない事に気づきます。両者のECUで共通しているのは、ECUに刺さるコネクタが3つあり、そのうち2つはエンジンハーネスに、1つは室内のハーネスに繋がっていることです。また、端子名についても殆ど同じ記号が並んでおり、機能も共通しています。両者のECU端子にどのような入出力があるかについては、修理書に記載されています。ハチロクの修理書では巻末の整備基準表に、AE111の修理書では、ダイアグノーシスによるトラブルシューティングの項に載っています。

AE111のエンジンハーネスに繋がっているコネクタ()から伸びる配線は、その殆どがエンジンに組み付けられているセンサーや補器類に接続されています。このように、ECUからセンサー、制御装置等に繋がっているだけの配線は、スワップ後のエンジンルームに合うように長さを延長してやればOKです。それ以外、つまりAE111のハーネスだけでは完結しないものと、その接続先を一覧にしておきます。

※2022/05/23修正:正しい内容に書き換えました

AE111
端子番号
端子名 配線色 接続先 備考
1 BATT 赤-白 ハチロク 2
3 EGW ハチロク 10
5 W 赤-黄 ハチロク 9 分岐してダイアグのWにも接続
9 SPD 紫-白 車速パルスが必要
10 AC1 黄-赤
11 STA 黒-白 ハチロク 14
12 B+ ハチロク 8
14 FC 緑-赤 ハチロク 4
16 CCO 黄緑 ハチロク 3
21 ACT 赤-青 未接続 エアコンカット信号(高回転時)
22 NSW 黒-白 ハチロク 14 ※A/T車のみ
13 ELS4 未接続 主にリアデフォッガ負荷によるアイドルアップ
7 ELS3 未接続 テールランプ負荷によるアイドルアップ
16 CF 黄緑-黒 未接続 ※AE111のプレッシャースイッチ
21 ELS2 青-赤 ブロアモーター負荷によるアイドルアップ
22 ELS1 白-青 未接続 電動ファン負荷によるアイドルアップ

ハチロクの室内のECUコネクタは何らかの方法でAE111のコネクタに変換してやる必要があります。ネット上にはハチロクのECUからコネクタ部分だけをむしり取って変換ケーブルを作るというやり方も紹介されていますが、コネクタをむしり取らなければ 『ハチロク純正ECU 前期・完動品!!』 なんて感じでヤフオクに流すこともできますw

ブログ主は、ハチロクのコネクタの背面でケーブルをぶった切り、圧着端子でAE111のコネクタ背後のケーブルと繋げました。

さて、ECUコネクタの配線については以下のような追加処理が必要なものや、どこにも繋げていない配線があります。

※2020/03/08修正:正しい内容に書き換えました

1. CFについて
AE111のCF端子はエアコン配管のプレッシャースイッチに接続されています。AE111の修理書によると、CFは「冷却水温90℃以上、A/C ON、高圧スイッチON」という3つの条件で12Vが出力されるようなので、ラジエータの電動ファンの制御に関わっていると思われます。電動ファンの制御は別のセンサーで行う事にしたので、ブログ主はこのCFをどこにも接続していません。

2. FSの処理(ハチロク前期型のみ)
ハチロクの前期型ではコネクタにFSという配線があります。配線図を見ると、ECUがFSに通電する事でリレーを作動させてインジェクタに電源を供給するようになっています。AE111のECUにはこの端子がないため、この配線を無視するとガソリンが噴射してくれません。
対策:
単純にコネクタのFSをアースしてやればOKです。

3. AC1の処理…上表印参照(エアコン搭載車のみ)
ハチロクのコネクタのA/CにはエアコンONで12Vの電圧がかかります。これに対しAE111のAC1は、エアコンOFFで5V、エアコンONで0Vという全く逆の制御になっていて電圧も異なります。
対策:
ブログ主はネット上で見つけたこちらの配線図を参考にして、5接点リレー(通電時ON・通電時OFF端子があるリレー)を使い、通電時OFFをAC1、通電時ONをELS2(ブロアー負荷によるアイドルアップ端子)に接続してエアコンONでアイドルアップが働くようにしています。
AC1に正しい電圧がかかるような回路を作成する予定です。

4. SPDの処理
修理書によると、ハチロクではメーター内の車速センサーで生成された5~9Vの電圧をECUが検知しているのに対し、AE111ではミッション内のメータースピードセンサーで生成された車速パルスをECUのSPD端子で検知しています。仕様が全く異なるのでハチロクのSPDをAE111のSPDに繋いでもスピードは検知できないでしょう。
対策:
後付けの車速センサーにて車速パルスを発生させてECUのSPDに接続する(有電圧がいいのか無電圧でもいいのかは不明)。
現時点ではあくまで予測ですが、近日中にチャレンジしてレポートします。

5. ACTについて
ACTは、エアコンONで12Vの電圧がかかり、この状態でスロットル全閉から全開を3秒間行うと0Vになり、エアコンの動作がカットされるようです。ブログ主はとりあえずこの配線をどこにも接続しませんでした。
厳密にやるとしたら、ACTにリレーを繋げ、エアコンアンプからマグネットスイッチに繋がっている配線をON/OFFすることで動きを再現できると思いますが、ECUがエアコンのON/OFFを認識している必要があるので、前述のAC1への入力が正常に行われていることが前提になります。
AC1の処理とセットでチャレンジしてレポートします。

6. ELS1~4について
ELS1~4は、電気負荷によるアイドルアップです。ハチロクのアイドルアップは、エアコンで1系統、各種電気負荷で1系統あり、それぞれがスロットル付近にあるVSVを作動させてスロットルをバイパスしたエアを吸気させて実現しています。AE111のアイドルアップは全てECUとISCVによって制御されており、電気負荷によるアイドルアップも4系統で独立して制御されています。ブログ主は、3で述べたELS2(エアコン)以外はとりあえず接続してませんが、今のところその他の電気系統によるアイドルアップの必要性を感じていません。
ELS1~4についても、完全再現できるようチャレンジします。

7. NSWについて(A/T車のみ)
NSW端子はA/T車のシフトポジションを検知する端子です。セルを回すとNSW端子とSTA端子に12Vが通電されますが、シフトレバーがPまたはNにある場合はSTA端子にかかるはずの電圧がカットされるので、この差分でシフトポジションを検知しているようです。M/T車のエンジンハーネスでは配線されていないので不要です。

つづく・・・

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"ハーネス(配線)の処理(2)" への4件のコメント

  1. いつも、大変丁寧な解説、ご苦労様です。
    ハーネス処理関係は、ググッてもこんなに丁寧な解説は
    見たことがありませんでした。
    とても、参考になります。
    自分でハーネス処理する際にとても有効な情報になりそうです。
    私の場合はAE101GのATエンジン為、ハーネスがAE101の配線となっているようで、配線図を見てもAE101配線なのにエアフロが無いような配線がエンジンについており、AT用CPUで駆動させる為の配線処理と共にどうしようか考えております。
    このサイトは、DIYで5バルブを載せる為の情報源として、とても有用なサイトになると思います。
    これからも、楽しみにしております。

  2. TREKさん
    コメントありがとうございます。
    そしていっぱい褒めて頂いて恐縮しております。
    褒めると伸びる子ですが、調子に乗り過ぎないよう精進しますw
    おっしゃるように、ネット上には配線に関する解説はあまり多く存在していません。
    だったら僕が…なんて思って書き始めてみましたが、文章だけでこういう内容を
    お伝えするのはなかなか難しいです。僕の拙い文章でわからない点があれば
    コメントにてどんどんご質問下さい。

  3. はじめまして、5年前程から読ませて参考にさせていただいております。
    現在、念願の5バルブ載せ替えの最中であり、フリーダム(ダイレクトイグニッション点火)にて元々使用されていたエンジン、ハーネス、フリーダムECUをセットにて入手して載せ替え準備をしている最中です。ハチロク運転席下のヒューズからエンジンルームへ続いている配線の加工が分からず困っています。
    知識等ございましたらご教授いただきたいです

    1. kk様

      全然更新できていなかった頃からご覧頂き、本当にありがとうございます。
      最初にお断りしておきますが、僕は前期ハチロク+AE111の純正ECUによる制御の経験しかないので、これから書く事はkk様のハチロクの仕様に合わないかもしれません。

      ご質問頂いた件ですが、運転席足元のヒューズボックス付近からエンジンルームに向かっている配線は、それらの殆どがエンジン制御にはあまり関係がない電装品用のものです。
      なので、僕の載せ換えの際はこの付近には全然手を付けていません。

      とても根気がいる作業になりますが、配線図と配線艤装図を見比べて、どの配線が車のどの部分を通っているのかを確かめてみて下さい。決め手は配線の色とカプラーの形状、記号です。

      エンジンルーム周りの配線は前期と後期で異なりますが、メーターパネルとエンジンが関わっている部分はタコメーター、水温計、油圧計で、前期ハチロクはこの3つの配線が運転席側からエンジンルームに入っています。純正メーターをそのまま使うのであれば、水温計と油圧計はハチロクのセンサーを5バルブ4A-Gにセットしてメーターと配線すればおっけーです。
      デスビ仕様であれば、タコメーターの配線をAE111のイグニッションコイルに繋いでやればいいんですが、フリーダム+ダイレクトイグニッションなんですよね。フリーダムからハチロクのタコメーターを駆動できる信号が出せればいいんですが、動かない場合はメーターパネルの回路を改造するか、社外品のタコメーターを付けるかになります。

      こんな回答で参考になるでしょうか。
      僕に分かる範囲であればお答えしますので、また何かあればコメント下さいね♫

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